死ぬまでに読みたい本

読んだ本や観た映画の感想です

『日本の黒い霧・上』松本清張

 以前、NHKの「100分de名著」でこの本がとりあげられていたので興味を持ち、読んでみた。冒頭の下山事件が抜きんでておもしろい。アメリカの社会史なんかを読んでいると、あまりのうさん臭さに辟易することがあるけれど、日本のGHQ統治時代も同じで、当時の政治や経済の上層部に正義や良識なんて入り込む隙はどこにもなかったんじゃないかと、暗澹たる気分になる。それはアメリカだけでなく、日本でもどこの国でも同じで、時代にしても、私たちが知らないだけで現代も同じようなものなんだろうけど。とにかく清張さんのGHQに対する怒りは、作中全般を通して強く伝わってきた。この本を読むと、清張の推理以外真実はあり得ないように思えてしまう。でも、実際のところはどうだったんだろう。真実は黒い霧の中……。